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通気性と遮光性を両立

AOTOのSWシリーズ天井スクリーンが「ヒートドーム問題」を打破

バーチャルプロダクションシステムでは、大面積の高輝度LEDウォールが長時間稼働することで多くの熱が発生します。従来の天井スクリーンは密閉型の構造が主流であるため、熱の放散が十分に行われにくいのが現状です。加えて、撮影現場の天井高が低い場合は、熱気の自然な上昇や対流による冷却が妨げられ、天井付近に熱がこもりやすくなります。 

このような高温の状態が続くと、LED天井スクリーンにさまざまな悪影響が現れます。LEDの劣化が早まり、輝度が低下するとともに色のズレが発生しやすくなります。また、出力の安定性が損なわれ、色の均一性も低下します。さらに、ドット抜けなどのLED故障や、ドライバーICなど電子部品の熱による故障リスクも大幅に増加します。

これらはバーチャルプロダクションにおける映像の品質や色再現性を直接損ねるだけでなく、メンテナンス費用の増大や撮影の中断といった深刻な問題を引き起こす可能性があります。

通気性と遮光性を両立させた構造的革新

従来のように通気のために穴あけや構造の空洞化で熱交換を図る手法とは異なり、
SWシリーズは光学的な遮光性能を犠牲にすることなく熱交換を実現しています。バーチャルプロダクションの現場で天井スクリーンは頭上からのキーライトを反射する重要な役割を持っており、優れた遮光性が不可欠です。単に通気性を追求した設計では、光学的な密閉性が損なわれ背面からの光漏れや内部構造の露出を招きやすくなり、映像のリアリティが損なわれる恐れがあります。
こうした問題は光の反射制御に影響を及ぼし、映像の一貫性や鮮明さを低下させる可能性があります。これに対応するため、AOTOのSWシリーズ天井スクリーンは「通気性」と「遮光性」を高い次元で両立させる革新的な技術アプローチを実現しました。このソリューションは、「透過」と「遮断」の絶妙なバランスを追求し、二重の通気経路による協調設計を採用しています。

熱力学的観点:

SWスクリーンモジュールの内部構造は熱力学の観点から見直されており、低抵抗の通気路が各LEDキャビネット内やモジュールの継ぎ目部分に効果的に組み込まれています。これにより、熱による圧力差が生じ、下部の高温部から上部の低温部へと自然な空気の流れが促進され、効率的な受動冷却が実現しています。

光学的観点:

光を遮断する複合材料が隙間なく組み込まれており、背面からの光漏れを防止することで撮影時における正面映像の視覚的な鮮明さと一貫性を維持しています。

この設計により、
SW天井スクリーンは優れた遮光性と映像の安定性を保ちつつ、従来の穴あけ加工や追加部材に頼ることなく、控えめで目立たない形で効率的な放熱を可能にしています。これにより、スクリーンの構造的な強度と映像の純度をしっかりと守りながら性能とデザインの理想的なバランスを実現しています。

通気性と遮光性に優れた構造設計

SW天井スクリーンの放熱性能:実験による検証とその結果

AOTOは、SW天井スクリーンに採用した通気構造の放熱性能を検証するため、厳密なラボ試験と実環境での検証を実施しました。その結果、同じ熱負荷条件下において、この構造を採用した超大型スクリーンの前面動作温度が従来よりも8~10℃も低下することが確認されました。これは、スクリーン前面から熱気が効率よく排出されていることを示しており、表示部の中核となるコンポーネントの動作環境が根本的に改善されたことを意味します。この効果は、LED素子の長期的な安定性と寿命の向上にも寄与します。

同時に、モニタリングデータからは基板(PCB)や放熱基盤など内部コンポーネントの温度も明確に低下傾向を示しました。これは、スクリーン外部に滞留した熱気が排出されているだけでなく、動作中に内部で発生する熱も内部の空気循環によってより効率的に放熱されていることを示しています。

注目すべきは、天井スクリーン背後の吊り下げ空間で温度が約5℃上昇したことです。この結果は、熱気がスクリーン内部の通気経路を通じてしっかりと排出されていることを示す明確な証拠と言えます。

SWモジュール背面の温度分布図

機器性能と運用効率の多角的向上

AOTO Electronicsが独自開発した通気型SW Sky Screen放熱構造は、精密なエンジニアリング設計と素材の革新に基づき、バーチャルプロダクションにおける熱蓄積の課題に対して体系的なソリューションを提供します。これにより、バーチャルスタジオシステムの運用性能と適用範囲が飛躍的に向上します。

初めに、エアフローの経路と放熱経路を最適化することで、動作中のディスプレイモジュールの温度上昇を効果的に抑制し、高温によるハードウェア故障(例:ドット抜け/ドライバの異常)の発生リスクを減少させます。これにより、システムの安定性と信頼性が大幅に向上し、撮影スケジュールの継続性とコントロール性の維持を確実に支えます。

次に、映像出力に関しては、安定した熱管理機構により高負荷動作時でもLEDスクリーンの色の一貫性と輝度の均一性が維持されます。これにより、熱暴走による色ずれや輝度低下が防止されポストプロダクションでの修正コストを削減するとともに映像表現のプロフェッショナルな品質向上に寄与します。

さらに、構造的な放熱設計により主要部品の熱劣化を効果的に遅らせることで機器全体の寿命を延ばします。これにより、減価償却の速度や保守・交換の頻度が間接的に抑えられて生産現場における長期的な資産運用コストの削減に繋がります。

また、この技術によりシステムの空間適応性が向上し、従来は会場の天井高さや換気条件などの制約があったバーチャルプロダクション技術が、それらの問題を克服できるようになります。これによって、より多様な環境で活用可能となり適用範囲が大きく広がります。

最後に、効率的な受動冷却(パッシブクーリング)を採用することで高出力の空調設備などの能動的な冷却への依存を大幅に削減することが出来ます。これにより、システムの消費電力を抑えられるだけでなく冷却設備の設計やコストもシンプルかつ合理的になり、環境に配慮したグリーン撮影や省エネ・脱炭素化といった業界の流れにも調和しています。

 LEDを活用したバーチャルプロダクションソリューションをいち早く導入した企業の一つとしてAOTO Electronicsは国内外で100以上の大型バーチャルスタジオの構築に携わってきました。Tencent、Apple、Microsoft、Netflix、Amazon、Meta、日本の東映など、多くのフォーチュン500企業に対して映像制作ソリューションを提供しています。技術が人々を魅了する場所で、 AOTO Electronicsは世界中のクリエイティブチームと協力しながら、映像制作技術の継続的な進化を推進し、業界に新たな創造の可能性をもたらすことに注力しています。